2019年11月の事務所便り
■年金改革の議論が活発に 制度変更への心構えを
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今年の8月末頃に、厚生労働省から「令和元年財政検証」の結果が公表されましたが、
これを受けて、年金改革の議論が活発になっています。
改革の2本柱として、「被用者保険の適用拡大」そして「年金水準の確保・充実
(加入年齢の上限の引き上げ・在職老齢年金の見直し・繰下げ制度の柔軟化など)」が
掲げられていますが、その議論も、社会保障審議会(厚生労働大臣の諮問機関)の
年金部会で進められています。
同部会では、それらに加え、年金手帳の廃止、厚生年金保険法における日本年金機構の
調査権限の整備、厚生年金保険の標準報酬月額の上限改定などの改正についても議論が
行われており、年金受給者はもちろん、保険料負担の増加など企業への影響も大きく
なりそうです。
これと連動して、社会保障審議会の企業・個人年金部会では、確定拠出年金などに
ついて、より利用しやすい制度にしようとする議論が進められています。
限界に近付いている公的年金を、自助努力で補ってもらおうということでしょうが、
企業としては、退職金制度として活用できる幅も広がっていくと思われます。
そのほとんどが、来年の通常国会に法案を提出すべく議論されている段階ですが、
企業としては、制度の変更への心構えをしておいたほうがよいかもしれません。
特に、厚生年金の適用を受ける方が増える可能性があること
(これまで適用がなかったパートや契約社員、さらには70歳以上の社員にも適用?)、
在職老齢年金制度の見直しなどで年金を受給しながら働く人が増える可能性があること
は、念頭に置いておきたいところです。
ここ最近の社会保障審議会についての話題から、主要なものを紹介しておきます。
・在職老齢年金制度の見直し 本格的な議論へ
<社会保障審議会年金部会資料>
≫ https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815_00013.html
・年金手帳の廃止・厚生年金の標準報酬月額の上限改定など改正を検討
<社会保障審議会年金部会資料>
≫ https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815_00016.html
※資料1と資料2をご覧ください。
・確定拠出年金 加入年齢の上限を引き上げる案を提示
<社会保障審議会企業年金・個人年金部会資料>
≫ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07178.html
■パワハラ防止措置等の実施義務 大企業では令和2年6月1日施行が濃厚
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労働政策審議会の雇用環境・均等分科会において、
「パワハラ防止対策の法制化(パワハラ防止措置等の実施義務の創設など)」が
盛り込まれた女性活躍推進法等の一部改正法(令和元年6月5日公布)の施行期日を
定める政令の案が示されました。
これによると、注目のパワハラ防止措置等の実施義務の創設は「令和2年6月1日」から
の施行となっています(ただし、中小事業主では令和4年3月31日までは努力義務)。
なお、同分科会では、パワハラに該当する例・該当しない例を示した指針の素案も
提示されています。
施行期日はほぼ決まりましたので、それに向けて指針の素案にも目を通しておきたい
ところです。
<第21回 労働政策審議会雇用環境・均等分科会/資料>
≫ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07479.html
<第20回 労働政策審議会雇用環境・均等分科会>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07350.html
※上記のパワハラ防止措置等に関する指針の素案については、「資料1-1」をご覧ください。
■その他のトピックス
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◇「労働時間の考え方「研修・教育訓練」等の取扱い」リーフレットを公表(厚労省)
≫ https://www.mhlw.go.jp/content/000556972.pdf
◇「年末調整がよくわかるページ」を開設(国税庁)
≫ http://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm
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畑中社労士事務所
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