2020年3月の事務所便り
■ ~時間外労働等改善助成金を「働き方改革推進支援助成金」へ改正案要綱
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来月から、中小企業にも時間外労働の上限規制が適用されますが、
その適用開始に合わせて「時間外労働等改善助成金」が見直される模様です。
助成金の名称が「働き方改革推進支援助成金」に変更され、
これまでの「時間外労働上限設定コース(時間外労働の上限設定を支援)」と
「職場意識改善コース(労働時間の短縮及び年次有給休暇取得に向けた環境整備
を支援)」は廃止。「労働時間短縮・年休促進支援コース」が新設されます。
新設される予定の「労働時間短縮・年休促進支援コース」のポイントは次のとおりです。
【1】支給要件:助成対象の取組を行い、次の目標をどれか1つ以上実施
・36協定の月の時間外労働時間数の縮減
・所定休日の増加
・特別休暇の整備
・時間単位の年休の整備
【2】助成率:取組の費用の4分の3(一定の場合は5分の4)を助成
【3】助成上限額:【1】の成果目標の達成状況に基づき、助成上限額を算出
最大は、合計で250万円
助成対象の取組に「時間単位の年休の整備」が含まれる見込みである点に注目です。
申請の受付開始時期など、より具体的な内容が公表されましたら改めてお伝えします。
★「働き方改革推進支援助成金」の全体像については、
次の資料の6ページをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000600313.pdf
■ 正社員との待遇差の是正を求め契約社員らが全国の地裁に一斉提訴
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「日本郵便の契約社員らが、同じ仕事をしているにもかかわらず正社員と待遇に
差があるのは、労働契約が無期か有期かで不合理な待遇差を設けることを
禁止している労働契約法20条に違反するとして、同社に差額分の住居手当などの
支払いを求め、全国の7地裁に一斉提訴した。」といった報道がありました。
住宅手当や扶養手当の待遇差についても不合理と訴えている点が注目されています。
過去の最高裁の判例をみると、平成30年6月1日判決のハマキョウレックス事件では、
住宅手当の待遇差は不合理ではないとされています。
さらに、同日判決の長澤運輸事件では、住宅手当のほか、家族手当の待遇差に
ついても不合理ではないとされています
(こちらについては、定年後の再雇用という事情も考慮された判決です)。
今後の動向に注目です。
なお、手当の待遇差について、上記の最高裁の判例や
同一労働同一賃金ガイドラインの内容をまとめた資料が、
厚生労働省から公表されています。
その部分のリンクを紹介しておきます(こちらのP46~48をご覧ください)。
<不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(業界共通編)第3章>
≫ https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000494539.pdf
また、厚生労働省では、同一労働同一賃金の解説動画を公開しています。
ぜひチェックしてみてください。
≫ https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/same.html
■ 高年齢労働者に係る雇用保険料の免除措置終了(令和2年4月~)
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一定の高年齢労働者に関する雇用保険料は免除されていますが、
この免除措置が今年3月31日に終了します。
4月1日からは、これまで雇用保険料が免除されて高年齢労働者についても、
企業が負担する雇用保険料が発生することを確認しておきましょう。
また、雇用保険料の負担が必要となる高年齢労働者には、
あらかじめ、その旨を伝えておいたほうがよいでしょう。
■その他のトピックス
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◇ 3月から高年齢雇用継続給付の支給限度額などを改定
≫ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00013.html
◇ 「動画で学ぶハラスメント」に新たな動画を追加(あかるい職場応援団)
≫ https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/movie/index
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畑中社労士事務所
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