2018年6月の事務所便り
みなさん、こんにちは。
これまでに地裁と高裁で争われてきた2つの非正規の待遇格差訴訟
「ハマキョウレックス事件」「長澤運輸事件」について、最高裁の判決が下りました。
特に注目を集めたのは、定年後に再雇用された非正規の社員が、
「定年前と同じ仕事なのに賃金が引き下げられ、正社員と待遇差が生じるのは不当だ」
と訴えた長澤運輸事件の判決です。
最高裁は、「賃金総額の比較のみではなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」
という考え方を示しました。
その上で、基本給や大半の手当について、非正規の社員に近く年金が支給される
事情などを踏まえ、格差は「不合理ではない」と判断しました。
個別の手当についての判断が明確になりましたが、
これまでの解釈の根本的な部分を抜本的に変更するような判決ではなく、
特に長澤運輸事件の原告側(定年後に再雇用された非正規の社員側)にとっては、
残念な結果だったようです。
非正規を雇用する各企業の対応としては、争いの根拠となった労働契約法20条に
対する理解を深めた上で、最高裁の判断を踏まえ、今一度、個別の手当について
不合理な待遇差が生じていないか確認しておく必要があるでしょう。
注目を集めた裁判。非正規の待遇を見直す契機になるのではないでしょうか。
その他、企業実務に関連する話題を紹介します。
■ 労働保険料の年度更新 各種情報を提供(厚労省)
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平成30年度の労働保険料の年度更新は、7月10日までとなっています。
そんな中、厚生労働省から、年度更新の情報がいくつか公表されています。
e-Gov電子申請利用マニュアルの紹介
≫ http://www.mhlw.go.jp/sinsei/tetuzuki/e-gov/
(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方
≫ http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/h30/keizoku.html
(雇用保険用)労働保険年度更新申告書の書き方
≫ http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/h30/koyou.html
■ 算定基礎届の記入・提出ガイドブックを公表(日本年金機構)
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平成30年度の社会保険の算定基礎届の提出期限は、7月10日までとなっています。
そんな中、日本年金機構から、「算定基礎届の記入・提出ガイドブック」が
公表されています。
平成30年度の算定(定時決定)においては、年金分野でのマイナンバーの
利用開始に伴い、届出様式が新しくなっていますので、ご確認ください。
算定基礎届の記入・提出ガイドブック(平成30年度)
≫ http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/kenpo-todoke/hoshu/20141225.files/santeiguideH30.pdf
■ その他のトピックス
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◇ 高年齢者・障害者雇用状況報告の提出について(厚労省)
≫ http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koureisha-koyou/index.html
◇ 平成30年分給与所得の源泉徴収票の記載のしかたの資料公開(国税庁)
≫ http://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100051.htm
◇ 中小企業等における生産性向上の取組をまとめた2冊の事例集を公表(厚労省)
≫ http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000206098.html
◇ 男性の育児休業取得者割合が初の5%超え
厚生労働省が「平成29年度雇用均等基本調査(速報版)」を公表しました。
その調査で、男性の育児休業取得者割合が初めて5%を超えました。